東北

四季が彩る美しい自然の中で、仙台七夕まつりなど多彩な伝統行事や温泉、食文化が楽しめる東北。
こちらでは東北で暮す・働くうえで役立つ情報をご紹介いたします。

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東北では、東日本大震災から10年が経ち、復興に向けた力強い息吹が感じられるようになってきました。地域で生活をする人たちには、厳しい10年となったことは想像に難くありませんが、たくさんの人・モノ・金・情報がこの地に降り注がれ、新しい未来を創造し続けた10年であったことも疑いがありません。

デロイト トーマツ グループではこの10年間の総括の1つの形として2021年1月~3月までに、主に三陸沿岸部の方々にオンライラン会議にご登壇いただき、「私の復興」というテーマでお話をいただく機会を持ちました。登壇者のお一人である宮城県の造船会社の社長はその思い描く復興の形をアラスカの紅葉で表現されました。アラスカは大変寒い地域で有名ですが、その寒さに堪えた地域においては一面真っ赤な紅葉の季節が訪れるそうです。その社長はこの一つ一つの木や枝や葉が、まさに東北の人材そのものであると語り、東北の近い未来をビビッドに表現されました。この10年で多様な色付きを見せてくれた東北では、農業・漁業・林業などに新しいビジネスモデルが多くみられるようになったのに加え、自動車、電子デバイスなどの大手工場も存在し、移住者を巻き込んで次の50年のイノベーションの地域として新たな姿を確実に表しています。

デロイト トーマツ人材機構株式会社
取締役
吉川 玄徳

エリア経済情報

東北地方は東日本大震災で大きなダメージを受け、経済も大きく落ち込みました。しかし、その後は復興需要の高まりもあって着実に回復し、多くの産業で震災前の水準まで回復している状況です。

2016年の売上高で見たとき、もっとも大きな産業となっているのは卸売業・小売業で約17兆円、そして約10兆円の製造業、6兆8000億円の建設業、6兆1000億円の医療・福祉が続いています。全国と比較した場合に売上高の比率が高いのは、農業・林業、建設業、医療・福祉などです。なお同地方における農業の売上高が占める割合は1.1%で、全国の0.3%を大幅に上回ります。

将来における不安要素として挙げられるのは人口減少です。総務省統計局の「日本の統計2021」によれば、2010年から2015年における同地方の人口増減率は平均-4.1%でした。国勢調査による2015年の人口は約933万人でしたが、2019年の推計人口は約866万人と減少しています。この人口減少に歯止めをかけられるかどうかが、今後の大きなポイントとなるでしょう。

  • エリア経済情報については、主に地域経済分析システム「RESAS」で公開されているデータを利用しています。

農業

2016年時点の農業・林業の売上高は約6,019億円で、そのうち農業が85.9%(約5,171億円)、林業が14.1%(約848億円)です。農業において主に生産されているのは米ですが、青森県のリンゴや岩手県の畜産、山形および福島の各種果物など、地域の特性を活かした農産物の生産も盛んに行われています。

工業

東北経済産業局が発表した「令和元年東北地域の工業(速報)」によれば、2019年の製造品出荷額等は18兆886億円で、8年ぶりに減少したとしています。産業別で見たとき、製品出荷額等が増加しているのは化学工業と非鉄金属製造業、パルプ・紙・紙加工品製造業です。一方、減少しているのは、生産用機械器具製造業や電子部品・デバイス・電子回路製造業、輸送業機械器具製造業などです。

商業

2016年時点での企業単位の売上高を見たとき、東北地方でもっとも大きな割合を占めているのは卸売業・小売業であり、約17兆8,002億円で32.2%を占めています。従業者数も63万8,014人とトップであり、雇用の大きな受け皿となっていることが分かります。宿泊・飲食サービス業も約1兆1426億円と重要な産業となっていますが、国土交通省観光部観光企画課の「東北における観光の状況 令和3年6月11日」を見ると、東北地方の宿泊施設における4月の状況は、2019年同月比で約30%に留まっており極めて厳しい状況となっています。

産業別売上高シェア

東北地方の産業別売上高シェアで、もっとも割合が大きいのは前述のとおり卸売業・小売業で、製造業、建設業、医療・福祉、電気・ガス・熱供給・水道業、生活関連サービス業・娯楽業と続いています。

企業数で見ると、トップは売上高と同じく卸売業・小売業ですが、それに続くのは宿泊業・飲食サービス業であり、観光や飲食サービス業は東北地方において大きな産業であることが分かります。

青森県と岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県の6つの県を含み、約860万人が暮らしている地域が東北地方です。(新潟県を含めた7県を東北地方とする場合もありますが、以降では、新潟県を除く6つの県を東北地方として解説します)。

青森のねぶた祭や仙台七夕まつり、秋田竿燈まつりといった「祭」、牛タンやじゃじゃ麺、米沢牛、大間産本マグロといった「食」、日本三景の1つである松島に三陸沿岸のリアス式海岸をはじめとする「絶景」、そして各地に散在する「温泉」など、東北には数多くの観光資源があり、毎年8,000万人近い観光客が訪れています(東北運輸局観光部「東北地方における観光の現状(統計データ)」より)。

東北6県を合わせた面積は約66,000km2と広大で、八万大良や岩手山、蔵王連峰といった山々に加え、猪苗代湖や十和田湖、田沢湖など湖も数多く、自然の豊かさを満喫できます。

住宅情報

宮城県の県庁所在地であり、約108万人と東北でもっとも多くの人が暮らす仙台市では、ワンルームマンションで5万円前後、2LDKでは8万円前後が相場です。なお政令指定都市である仙台市には、青葉区と宮城野区、若林区、太白区、泉区の5つの区があり、もっとも家賃相場が高いのは青葉区になっています。

人口約33万人で東北2番目の都市である福島県いわき市の場合はワンルームで5万円弱、2LDKが6万円前後、秋田県の県庁所在地である秋田市では1Kが4~5万円、2LDKで7万円程度です。

  • 家賃相場は各種賃貸情報サイトなどを調査し編集部にて独自に算出

交通情報

鉄道は、東京を起点に郡山や福島、仙台などを経由して新青森に至る東北新幹線、同じく東京を起点に福島駅から山形駅を経由して新庄駅まで至る山形新幹線や、盛岡駅を経て秋田駅まで走る秋田新幹線など、新幹線が幅広いエリアをカバーしていて、首都圏へ容易にアクセスできる環境が整えられています。

高速道路は東北自動車道や常磐自動車道のほか、秋田自動車道や青森自動車道、三陸自動車道、山形自動車道などが整備されています。

空港としては、仙台空港(愛称:仙台國際空港)や花巻空港、山形空港、秋田空港、三沢空港、青森空港などがあります。

医療情報

国立病院機構に属する病院としては、青森病院や盛岡医療センター、仙台医療センター、あきた病院、山形病院、いわき病院などがあるほか、各地に県立病院や市立病院があります。

ただ医療施設に従事する医師数の全国順位において、福島県(41位)と青森県(42位)、岩手県(43位)は特に低く、東北地方における医師不足は大きな課題となっています(総務省「統計でみる都道府県のすがた」(2021年))。

介護情報

65歳以上人口10万人あたりの介護老人福祉施設数の順位は、秋田県が34.2で2位、岩手県も29.3で10位と高く、そのほかの県を含めても東北地方はほぼ全国平均並の水準となっています。

同じく65歳以上人口10万人あたりの老人ホーム数において、東北地方で突出して多いのは青森県で、136.9で全国3位の多さとなっています。また岩手県も86.6で全国17位、平均を上回りました(総務省「統計でみる都道府県のすがた」(2021年))。

教育情報

東北には弘前大学や岩手大学、東北大学、宮城教育大学、秋田大学、山形大学、福島大学といった国立大学があります。また人口10万人あたりの大学数では、青森県が0.80で全国8位、秋田県が0.72で全国11位となっています。

可住地面積100km2あたりの小学校および中学校、高等学校数の全国順位は、各県の面積の広さが影響し、いずれも下位に位置している状況です。特に子どもを連れて移住するなどといった場合は、学校へのアクセスを考慮したいところです(総務省「統計でみる都道府県のすがた」(2021年))。

レジャースポット

日本三景の松島や青森県と秋田県の県境にあるカルデラ湖の十和田湖、蔵王山にあるエメラルドグリーンの火口湖である御釜、会津武家屋敷跡や角館武家屋敷、仙台城址といった歴史を感じられる地域など、東北には数多くの観光名所があります。また乳頭温泉や蔵王温泉など、数多くの温泉地も見逃せません。

自然を思う存分味わうことができる、山登りに適した山岳も数多くあります。たとえば津軽富士とも呼ばれる岩木山は数多くの高山植物が見られるほか、北海道まで見渡せる眺望も魅力。また岩木山にはスキー場もあり、冬から春にかけてはスキーも楽しめます。

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