中国

自然豊かで海も山も味わえ、温暖で暮らしやすい気候風土を持つ中国地方。
こちらでは中国で暮す・働くうえで役立つ情報をご紹介いたします。

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広島県は、人口約120万人の広島市を筆頭に、福山、呉などの中核都市と、自然豊かな瀬戸内海沿岸地域、中山間地域を擁しています。古くから海上交通の要衝として発展してきており、戦後復興期には、自動車、鉄鋼、造船などの重工業を中心に、当時世界最大の製鉄所を有するなど、目覚ましい発展を遂げました。現在も、自動車、機械のほか、電子部品・デバイスなどの企業も多く、都市部には中四国エリアの卸売業、小売業も多く進出しています。さらに、行政は「挑戦」を後押ししており、新技術を用いる産業の育成や誘致など様々な施策で支援する環境があります。

生活環境においては、道路交通網が整備されており、都市部と自然豊かな地域を効率的に移動することができます。レモン栽培が盛んな瀬戸内海沿岸は温暖な気候に恵まれていますが、冬の山間部では雪を見ることもできます。また、牡蠣を始めとする海産物の宝庫であるほか、日本酒も有名です。

自然や食材に恵まれた豊かな生活と、都市部の便利さや活発な産業があり、仕事と生活の両面での魅力がある地域となっています。

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
広島オフィス 担当マネージングディレクター
後藤 孝久

エリア経済情報

戦前、瀬戸内海沿岸には軍関連工場があった経緯もあり、繊維や造船、科学などの工業が発達していました。その後も鉄鋼や機械、石油、自動車など、幅広い工業が集積し、これまで中国地方の経済を牽引してきた経緯があります。

この中国地方の工業で、特に存在感が大きいのは自動車や船舶といった輸送用機械です。売上高(企業単位)で見たとき、輸送用機械器具製造業は約3兆9,654億円で、同地域においてもっとも大きな売上高になっています。

気になるのは山陰と山陽の経済規模の差です。2017年度の県内総生産を見ると、山陰地方である鳥取県と島根県の県内総生産の合計は約4兆3,695億円で、26兆円を超える山陽地方3県(岡山県、広島県、山口県)の6分の1程度に留まります。さらに山陰地方は交通網の整備でも山陽に比べて遅れているほか、高齢化も進んでいます。この状況をどのように打破するのか、注目されるところです(内閣府「県民経済生産」

  • エリア経済情報については、主に地域経済分析システム「RESAS」で公開されているデータを利用しています。

農業

中国地方の農林水産業は多彩で、全国に知られるブランドも少なくありません。たとえば岡山県の白桃やピオーネ、シャインマスカットなどのぶどう、鳥取県の二十世紀梨などは広く知られています。また海産物で言えば、広島県は牡蠣の生産量で全国1位を誇ります。

農業・林業の売上高(企業単位)は約3,469億円で、全産業における割合は0.6%です。また漁業は約467億円であり、割合は0.1%となっています。

工業

中国地方の製造業の売上高(企業単位)は約13兆7,040億円であり、卸売業・小売業に続く産業規模です。製品出荷額等(実数)を見ると、製造業の中でトップは輸送用機械器具製造業で約5兆7,231億円、それに続くのは化学工業で約3兆6,484億円、鉄鋼業の約3兆2,197億円です。また昨今では、電子部品・デバイス・電子回路製造業も約1兆2,426億円と伸びています。

ただ中国地方の工業を牽引する自動車産業は、100年に1度の大変革期と言われており、脱炭素や電動化への対応など自動車メーカーには多くの課題が突きつけられています。このような状況にどのように対応するのかは、中国地方の経済を占う上でも大きなポイントとなるでしょう。

商業

中国地方の卸売業・小売業の売上高(企業単位)は約17兆7,166億円であり、同地域におけるもっとも大きな産業となっています。ただし人口の減少に伴う市場の縮小が予想されるため、今後も産業規模を維持するためには何らかの手立てが必要だと考えられます。

宿泊業・飲食サービス業は約9,454億円で、産業全体から見た割合は1.7%に留まります。中国地方には厳島神社や原爆ドーム、そして石見銀山遺跡とその文化的背景といった世界遺産があるなど、多くの観光資源があることを考えると、今後の成長に向けて取り組みを強化すべき分野だと言えるでしょう。

産業別売上高シェア

中国地方の産業別売上高シェアは、卸売業・小売業が32.5%でトップ、製造業が25.2%で続いています。これらに続くのは医療・福祉(9.7%)、建設業(8.7%)、運輸業・郵便業(4%)です。

鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県の5県で構成されるのが中国地方で、さらに日本海側の山陰(鳥取県・島根県)と瀬戸内海側の山陽(岡山県・広島県・山口県)で分けることもあります。

中国地方でもっとも人口が多い都市は広島市の約119万人で、それに岡山市(約72万人)と倉敷市(約47万人)が続きます。瀬戸内海沿岸にはさまざまな工場が創業する瀬戸内工業地帯があるほか、呉市や下関市には造船所もあります。

住宅情報

中国地方で最大の都市である広島市の場合、ワンルームで3万円台後半から6万円、2LDKで6万円台から10万円が家賃相場となっています。

岡山市ではワンルームが4万円台、2LDKが6万円台から8万円台といったあたりです。なお山陰地方でもっとも人口が多い松江市の家賃相場は、ワンルームが6万円前後、2LDKで8万円前後です。

  • 家賃相場は各種賃貸情報サイトなどを調査し編集部にて独自に算出

交通情報

鉄道は新大阪駅と博多駅を結ぶ山陽新幹線が山陽地方を走っているほか、山陽本線や山陰本線といった在来線もあります。また広島市内には、輸送人員および路線延長で路面電車として日本最大規模を誇る広島電鉄の路面電車があります。

高速道路は日本有数の走行台数を誇る東名高速道路や中央自動車道、名神高速道があるほか、名古屋市およびその周辺地域には名古屋高速道路が整備されています。

空港は広島空港、岡山空港、山口宇部空港、出雲空港などがあります。

医療情報

国立病院機構に属する病院としては、鳥取医療センターや米子医療センター、松江医療センター、浜田医療センター、岡山医療センター、呉医療センター、広島西医療センター、東広島医療センター、関門医療センター、岩国医療センターなどがあります。

人口10万人あたりの一般病院数の順位は、山口県の11位を筆頭に、岡山県16位、広島県17位と山陽地方の順位が高くなっていますが、鳥取県(20位)と島根県(25位)もほぼ全国平均並となっています。ちなみに人口10万人あたりの医療施設に従事する医師数の順位は、岡山県の4位、鳥取県が7位など、いずれの県も全国平均を上回っています(総務省「統計でみる都道府県のすがた」(2021年))。

介護情報

65歳以上人口10万人あたりの老人ホーム数の順位は、鳥取県が19位、島根県が14位、岡山県が21位、広島県が34位、そして山口県が13位であり、広島県を除くと全国平均を上回っています。

同じく介護老人福祉施設数で1位だったのは島根県で、岡山県(17位)、鳥取県(22位)、広島県(34位)、山口県(37位)と続きます(総務省「統計でみる都道府県のすがた」(2021年))。

ちなみに島根県の高齢化率(総人口に占める高齢者の割合)は全国3位の34.3%と極めて高い水準であり、老人福祉関係の福祉施設の整備はさらに重要性が増すと考えられます(島根県Webサイト「島根県の高齢化率」より)。

教育情報

中国地方には国立大学として鳥取大学と島根大学、岡山大学、広島大学、山口大学があります。

対象年齢人口10万人あたりの小学校および中学校、高等学校の数の順位を見ると、島根県がそれぞれ3位、2位、1位となっているほか、山口県も小学校が13位、中学校は11位、高等学校が4位と高い順位となっています。それ以外の県も平均並みがそれ以上の順位です(総務省「統計でみる都道府県のすがた」(2021年))。

レジャースポット

中国地方のレジャースポットで注目したいのは歴史を感じられる場所で、日本神話に創建の伝承が語られている出雲大社や1996年に世界文化遺産に登録された厳島神社、江戸幕府の直轄地だった当時の雰囲気を残す倉敷美観地区などが挙げられます。また歴史を知るために、原爆ドームや広島平和記念資料館も見ておきたいところです。

鳥取市の日本海海岸に広がる鳥取砂丘も1度は行ってみたい場所の1つです。ちなみに鳥取砂丘では、らくだ乗り体験やパラグライダー、サンドボードといったアクティビティも楽しめます。

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